欧州中央銀行(ECB)は10日に開いた定例政策理事会で、現行金融政策の維持を決めた。一方、ドラギ総裁は記者会見で、ユーロ圏の景気減速が続けば、対応するための「多くの措置がある」と発言。圏内の銀行を圧迫しているマイナス金利政策について、銀行に及ぼす悪影響の軽減策を検討していく方針を示した。
ユーロ圏では緩やかな景気回復が続いているが、ここにきて成長のペースは鈍化している。これを受けてECBは3月の理事会で、今年の夏以降としていた利上げを来年以降に先送りすることや、圏内の銀行に9月から低利の長期資金を供給することも決定した。
ECBは主要政策金利を0%とするとともに、中銀預金金利をマイナス0.4%まで引き下げている。マイナス金利は市中銀行の貸し渋りを解消し、経済に資金を回す狙いがあるが、銀行はECBに預ける余剰資金に利息を払う形となり、経営が圧迫されている。
ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、ユーロ圏には下振れリスクがあるとして、景気の先行きへの警戒感を示した上で、ECBは経済と物価を下支えするために金融政策を見直す用意があるとコメント。超低金利政策を続ける一方で、マイナス金利の悪影響を抑える措置の導入を検討していくことを明らかにした。