英国で2日、イングランドと北アイルランドの地方議会選挙が行われ、与党・保守党は議席の約3割を失う歴史的大敗を喫した。最大野党の労働党も議席を減らし、二大政党の退潮が鮮明になった。EU離脱をめぐる国勢の混乱を背景に、離脱方針を協議する両党に有権者が厳しい審判を下した格好で、メイ首相への辞任圧力がさらに高まる可能性がある。
今回実施されたのは、イングランドと北アイルランド地方のそれぞれ248、11議会と6首長の選挙。英BBCによると、保守党は改選前の計4,896議席から1,334議席減となり、2,000議席以上を失った1995年の統一地方選以来の大敗を喫した。労働党も2,105議席から82議席減らす苦戦を強いられた。これに対し、二大政党に「ノー」を突きつけた有権者の最大の受け皿となったのはEU残留を主張する自由民主党で、改選前から703議席増と大きく躍進。緑の党も194議席増と健闘し、無所属系も600議席以上増やした。一方、EU離脱を訴えて前回躍進した英国独立党(UKIP)は145議席減と振るわなかった。
大勢が判明した3日午後、保守党の集会に出席したメイ氏は「選挙結果はEU離脱を早く実現しろという有権者のメッセージだ」と発言。下院でこれまで3度にわたり離脱合意案が否決された経緯に触れ、早急に労働党との協議をまとめたい考えを強調した。ただ、会場では「なぜ辞任しないのか」といったやじが飛び、党員からは「有権者は党首の交代を求めている。今がその時だ」と辞任を求める声も聞かれた。
EUは4月の首脳会議で英国の離脱期限を最長で10月31日に再延期することを決めたが、5月22日までに英議会が離脱合意案を承認しなかった場合、英国は翌23日からの欧州議会選挙に参加せざるを得ない。選挙にはEU離脱を掲げて急速に支持を伸ばしたブレグジット党なども出馬する予定で、保守党は新政党にも票を奪われてさらなる大敗を喫する可能性もある。