欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/8/4

EU産業・貿易

EUとカメルーンの暫定EPAが発効、中央アフリカとの包括協定交渉加速

この記事の要約

EUとカメルーンの暫定的な経済連携協定(EPA)が8月4日付で発効する。これはEUと中部アフリカ地域との貿易拡大や開発協力を目的とした、地域間の包括協定に向けた最初の一歩となるもの。EUはカメルーンからの輸入品に対してほ […]

EUとカメルーンの暫定的な経済連携協定(EPA)が8月4日付で発効する。これはEUと中部アフリカ地域との貿易拡大や開発協力を目的とした、地域間の包括協定に向けた最初の一歩となるもの。EUはカメルーンからの輸入品に対してほぼ全面的に関税と数量制限を撤廃する一方、カメルーン側も2023年までに段階的に市場開放を進める。EU側はカメルーンとの協定発効を機に、中部アフリカ諸国とのEPA締結交渉を加速させたい考えを示している。

EUは1975年(当時は欧州共同体=EC)、アフリカ、カリブ海、太平洋地域(ACP)46カ国との間でロメ協定と呼ばれる経済協力協定を締結した。これはECがACP産の砂糖や茶などの農産品に対して特恵措置を与えるという内容で、5年ごとに見直しが行われ、参加国も徐々に増えた。しかし、協定締結後もACP諸国の経済成長率は低く、協定の効果や制度設計が疑問視されたため、2000年に新たな枠組みとして貿易、開発協力、政治対話を柱とするコトヌー協定に調印した。

03年4月に発効したコトヌー協定には移行措置として、07年末まで旧ロメ協定の特恵措置を維持する規定が盛り込まれたが、EUが一方的に関税や数量制限を撤廃・削減する同措置は世界貿易機関(WTO)ルールに違反する恐れがあるとされた。このためEUは07年末を期限とするWTO協定の義務免除(ウェーバー)を受け、この間にACP諸国との間で暫定的なEPAの締結を目指すことになった。

カメルーンが属する中央アフリカ地域(中部アフリカ諸国経済共同体=CEMACのうち、アンゴラとブルンジを除く8カ国)とは、03年10月から07年12月にかけてEPA交渉が行われたが、WTOのウェーバー条項の有効期限内に合意することはできなかった。このためEUは各国との個別交渉に方針転換し、09年1月にカメルーンとの間で暫定EPAに調印。同国では7月25日に協定が批准された。EU側は欧州議会が昨年6月に協定を承認している。

ただ、地域全体との交渉は暗礁に乗り上げており、個別交渉もカメルーン以外の国とは合意に至っていない。欧州委員会のデフフト委員(通商担当)は「カメルーンとのEPA発効により、EUと中央アフリカ諸国の関係は新たな時代に入ることになる。中央アフリカの開発目標を達成するうえで最適なEUとの協力関係を構築するため、他の国に対してカメルーンに続くよう強く働きかけていく」と述べた。

EUはカメルーンにとって重要な貿易相手で輸出の46%、輸入の35%をEUとの取引が占めている。EUからカメルーンへの主な輸出品は工業製品、自動車、化学製品、医薬品など。一方、カメルーンからは石油製品、アルミニウム、木材、農産物(コーヒー、カカオ、バナナ、ゴム)などが輸出されている。