欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/8/4

EU産業・貿易

SEPAへの移行プロセスが完了、34カ国で決済フォーマットが統一化

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は1日、国境を越えたユーロ建ての小口決済を国内と同様に行えるようにするためのスキーム「単一ユーロ支払地域(SEPA)」の移行プロセスが、同日付で完了したと発表した。EU加盟国にアイスランド、リヒテン […]

欧州中央銀行(ECB)は1日、国境を越えたユーロ建ての小口決済を国内と同様に行えるようにするためのスキーム「単一ユーロ支払地域(SEPA)」の移行プロセスが、同日付で完了したと発表した。EU加盟国にアイスランド、リヒテンシュタイン、モナコ、ノルウェー、サンマリノ、スイスを加えた34カ国では、国ごとに異なる決済方法や支払フォーマットが統一化され、国境を越えたユーロ建ての決済が迅速かつ低コストで処理されるようになる。

EUでは2007年にSEPAの実現を可能にする「支払いサービス指令(PSD)」が制定され、加盟国は09年11月までの国内法化が義務付けられた。SEPAの対象となる取引は送金・口座振替、自動引き落とし、カード決済の3種類。国境を越えて活動する企業はこれまで、国ごとに銀行口座を開いていたが、SEPAでは銀行口座を1つ開けばスキームに参加する国ではどこでも国内と同じように処理できるようになるため、決済にかかる時間と経費が大幅に削減されるうえ、資金の集中管理もしやすくなる。欧州委員会はSEPAの実現によってEU域内で管理される銀行口座はおよそ900万件減り、年間219億ユーロのコスト削減につながると試算している。

当初は14年2月1日が完全以降の期限となっていたが、欧州委は企業による統一フォーマットへの移行作業に遅れが目立つとして、今年に入り期限を半年延期することを決めた。ECBによると、送金や自動引き落としに関してはすでに統一フォーマットへの対応が完了したが、カード決済については一部で現在も移行作業が続けられている。一方、ユーロ圏外の銀行や企業は16年10月までにSEPAの統一フォーマットへの対応が義務付けられている。