ユーロ圏共通予算の議論進まず、財源を優先協議へ

EUは21日開いた首脳会議でユーロ圏共通予算について協議した。財源や予算規模については依然として加盟国間で意見の隔たりが大きく、目立った進展はなかった。

ユーロ圏共通予算の創設はマクロン仏大統領が2017年に提唱。ユーロ圏の統合深化に向けた機構改革案の柱として、約2年前から議論が続いている。ユーロ参加国の競争力強化や圏内の経済格差是正を目的に、EU予算の一部として創設する構想だが、財政規律を守る豊かな国が放漫財政の国の尻ぬぐいをさせられるといった批判が根強く、調整が難航している。

首脳会議は声明で、2021~27年の中期予算計画でユーロ圏共通予算を確保するため、財源や予算の管理方法などについて加盟国の合意が不可欠と指摘。ユーロ圏財務相や欧州委員会に対し、決定を保留しているすべての事項について引き続き協議を重ね、特に財源に関しては優先的に議論を進めて速やかに解決策を報告するよう求めた。ただ、合意の期限は設定していない。

6月半ばに開いたユーロ圏財務相会合とEU財務相理事会では、ユーロ圏共通予算の構想自体に反対するオランダやフィンランドなどが譲歩し、EU予算の一部として共通予算を創設することで合意した。しかし、財源をEU予算の枠内にとどめるか、それとも加盟国の追加拠出によって規模を拡大できるようにするかをめぐって調整がつかず、首脳会議での合意形成を目指していた。

ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のセンテノ議長(ポルトガル財務相)は会議後の記者会見で、ユーロ圏共通予算について昨年12月の首脳会議後に合意した内容を各国首脳に報告したと説明。今後は財源について優先的に協議を行い、年内の合意を目指す考えを示した。

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