ドイツの連邦憲法裁判所は7月28日、国内の学者グループがEUの「銀行同盟」に法的問題があるとして、同裁判所に提訴したことを明らかにした。
銀行同盟はユーロ圏を揺るがした金融・債務危機の再発防止が目的。圏内の大手銀行の監督を欧州中央銀行(ECB)に一元化する「欧州単一監督メカニズム(SSM)」と、銀行の破綻処理を一元化する制度からなる。
提訴したのは経済、金融、法律分野の5人の学者。EUの機関が各国の銀行に対して大きな影響力を持つ同制度にはEU基本条約の改定が必要だが、同手続きを踏んでおらず、ドイツの基本法に抵触すると主張している。
ドイツではEUの債務危機対応に批判的な動きが根強く、危機に直面するユーロ参加国に対するEUの新たな緊急金融支援の枠組みとなる「欧州安定メカニズム(ESM)」の創設時にも違憲訴訟が起こされた経緯がある。憲法裁は同訴訟を棄却するなど、これまではEUを支持する判決を下しており、今回の訴えも退けられるとの見方が有力だ。ただ、銀行同盟の第1段階である監督一元化制度が始動する11月を前に、ECBや欧州委員会が対応に追われることになる。