キプロス沖ガス採掘めぐりトルコに制裁措置、外相理が高官級協議停止など決定

EUは15日の外相理事会で、トルコがキプロスの排他的経済水域(EEZ)内でガス田の採掘を開始した問題について協議し、トルコの活動を違法行為と断定して同国への制裁措置を決めた。EU・トルコ間の高官級協議を当面停止するほか、航空協定締結に向けた交渉を凍結する。トルコ側はEUの対応に反発して今後もガス探索を続ける構えを見せており、対立が先鋭化する可能性がある。

地中海東部のキプロス島周辺では10年ほど前からガス田が相次いで発見されている。トルコは5月、キプロス島西方に掘削船を派遣して探索に着手。今月中にも2隻目が作業を開始する見通しだ。トルコが採掘活動を展開する海域はキプロスのEEZ内にあるため、EUは作業を停止しなければ制裁を科すと警告していた。しかし、トルコはキプロスを国家として承認しておらず、キプロスに同海域での資源開発の権利はないと主張。EUとトルコの間で緊張が高まっていた。

外相理は「トルコの違法な採掘活動はEUと同国の関係に深刻な影響をもたらす」と非難。トルコへの制裁措置として、高官級協議の停止や航空協定交渉の凍結に加え、欧州投資銀行(EIB)にトルコ向け融資の見直しを要請した。さらに欧州委員会に対し、採掘活動に関わる企業や個人への金融制裁を検討するよう求めた。

これに対し、トルコ外務省は16日に声明を発表し、「EUは極めて偏った立場で不当な措置を決定した」と強く非難。今後も掘削や探索を続ける方針を示した。

上部へスクロール