イタリア国鉄のフェッロヴィーエ・デッロ・スタート(FS)は15日、経営破綻した伊アリタリア航空の救済について、新たに国内運輸インフラ大手のアトランティアと提携すると発表した。FSとアトランティアは伊政府、米デルタ航空と共同でアリタリアを買収し、同社の再生を図る。
アリタリアは格安航空会社(LCC)や高速鉄道との競争激化などで業績が悪化し、資金繰りに行き詰まって2017年5月に政府の管理下に置かれた。政府のつなぎ融資によって営業を継続しながら、救済を模索してきた。
同社の救済をめぐっては、FSが他社と共同で約10億ユーロの資本を注入し、買収する方向で調整を進めていた。これまでにデルタ航空とイタリア経済財務省による出資が事実上、決まっていたが、もう1社の参加が必要として募集した結果、アトランティアが名乗り出た。
FSとアトランティア、デルタ航空、イタリア経済財務省はコンソーシアムを結成し、アリタリアの再生計画を策定した上で、共同買収する見込み。FSは声明で、できる限り早期に再生計画と買収の詳細を固めたいとしている。
アトランティアは伊ベネトン一族系の企業。高速道路や空港の運営などを手がけている。イタリアでの報道によると、同社は3億ユーロ程度を出資し、新生アリタリアの株式の約35~40%を握る見通し。FSと経済財務省は合わせて50%、デルタ航空は10~15%を出資すると報じられている。