格付け会社規制の同等性評価、5カ国の認定取り消し

欧州委員会は7月29日、金融サービス部門における「同等性評価」に関する報告書を公表した。各国の規制がEUと同等の基準を満たしているかどうかを評価したもので、オーストラリアやシンガポールなど5カ国では格付け会社に対する規制が不十分として、同等の認定を取り消した。認定取り消しは今回が初めてで、市場では英国の離脱期限が迫る中、EUが規制強化に動いているとの見方が出ている。

EUは同等性評価に基づき、EUと同じ水準の規制体系を備えていると判断した国の金融機関に限り、EU市場へのアクセスを認めている。欧州委は今回、オーストラリア、シンガポール、アルゼンチン、ブラジル、カナダでは格付け会社に対する規制がEU並みの水準に達していないと判断し、これまで同等としていた地位を取り消した。これはEUがこの間に規制を強化したのに伴い、評価基準が変わったことによるもの。各国当局との協議で5カ国はEUルールに沿った規制の見直しを拒否したため、認定の取り消しを決めた。

これにより、EU域内の銀行は今後、これら5カ国に拠点を置く格付け会社のサービスを利用できなくなる。実際の影響は限定的とみられるが、離脱を10月末に控えた英国の金融業界ではEU市場へのアクセス維持が一層困難になるとの見方が出ており、今回の決定は象徴的な意味合いを持ちそうだ。

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