イタリアのコンテ首相は20日、議会上院で辞意を表明し、マッタレッラ大統領に辞表を提出した。連立を組むポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」と右派政党「同盟」の対立が激化し、同盟を率いるサルビーニ副首相兼内相が総選挙の実施を求めて内閣不信任案を提出したことで、政権運営は不可能と判断した。大統領は総選挙ではなく、新たな連立政権の樹立を優先すべきだとの考えで、27日に各党の代表と協議する方針を示している。
コンテ氏は民法が専門の元大学教授。昨年3月の総選挙で第1党となった五つ星と同盟による連立政権で首相に担ぎ出された。両党は財政政策や対中外交などをめぐって対立しており、サルビーニ氏は連立維持は不可能として、今月9日にコンテ政権に対する不信任案を提出した。コンテ氏は上院の演説で「サルビーニ氏は自分自身と党の利益を優先した」と非難し、不信任案の採決を待たずに辞意を表明した。
マッタレッラ氏は22日、総選挙については慎重な考えを示す一方、来年の予算審議などを控えて決断を急ぐ必要があると指摘。27日に各党の代表と協議する方針を示し、各党に連立交渉での合意を促したことを明らかにした。
五つ星のディマイオ党首は22日、「安定多数の確保に向けて接触を開始した」と述べ、複数の政党と交渉を進めていることを明らかにした。最大野党の民主党は五つ星との連携に前向きで、ジンガレッティ書記長はマッタレッラ氏に政権参加の意欲を伝えたことを明らかにした。一方、同盟のサルビーニ氏はマッタレッラ氏との会談で早期の総選挙を要求。その一方で、中道右派「フォルツァ・イタリア」などとの連立を模索する方針も示した。