仏政府がデジタル税めぐり米と妥協、課税分の一部を対象企業に返還へ

フランスのマクロン大統領は8月26日、同国が導入を決めた大手IT企業を対象とするデジタル課税に米政府が反発している問題で、米政府と妥協案で合意したと発表した。課税分の一部を対象企業に返還する。これによって米政府は仏産ワインへの追加関税を見送るとみられる。

デジタル税は世界的に活動する多国籍IT企業の課税逃れを防ぐのが狙い。EUの現行の課税制度では、国内にオフィスや工場など物理的な拠点を持たない企業に対し、原則として法人税を課せない仕組みとなっており、EU内で国によって異なる課税ルールを利用したネット企業などによる課税逃れが問題になっている。このため、仏政府は独自のデジタル税導入を決定。7月に関連法案が成立していた。

課税対象となるのは、売上高が全世界で7億5,000万ユーロ以上、仏国内で2,500万ユーロ以上のIT企業。ネット上の広告、個人情報の売買や、検索エンジンなどのプラットフォームを運営する企業、ネットを利用したサービス(配車アプリのウーバー、民泊仲介サイトのエアビーアンドビーなど)を提供する企業に、仏国内での売上高に3%を課税する。

これについて米政府は、「GAFA」と呼ばれる同国の巨大IT企業であるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンを狙い打ちにした不当な措置と猛反発し、仏の代表的な輸出品であるワインの関税を引き上げると警告していた。

フランスで開かれていた主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて両国政府が行った同問題をめぐる協議でまとまった合意は、経済協力開発機構(OECD)が検討している同様のデジタル課税制度の実現を前提に、フランスが同制度と独自の課税の差額を対象企業に払い戻すという内容。OECDの課税制度が導入された時点で、仏の課税制度は廃止となる。

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