欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/8/18

EU産業・貿易

中国のレアアース輸出制限めぐる紛争、EU・日米の勝訴が確定

この記事の要約

EUと日本、米国が中国によるレアアース(希土類)の輸出制限を不当として世界貿易機関(WTO)に提訴している問題で、WTOの上級委員会は7日、中国の措置をWTO協定違反と認定する裁定を下した。これによって同通商紛争での中国 […]

EUと日本、米国が中国によるレアアース(希土類)の輸出制限を不当として世界貿易機関(WTO)に提訴している問題で、WTOの上級委員会は7日、中国の措置をWTO協定違反と認定する裁定を下した。これによって同通商紛争での中国の敗訴が確定し、同国政府は輸出制限の撤廃を求められる。

中国は自動車、家電、兵器など多様なハイテク製品に欠かせないレアアースの世界産出量の90%以上を占める最大の資源国。中国政府は資源保全、環境保護を理由に、2009年からレアアースと高融点金属のタングステン、モリブデンの輸出に数量制限や特別税を設け、海外への供給を厳しく制限した。これに対してEUと日米は、中国国内への供給が制限されていないことから、同措置は資源・環境保護とは関係なく、国内企業を不当に優先するもので、WTO協定に違反するとして2012年3月に提訴。WTOの紛争処理小委員会(パネル)は今年3月、EU・日米側の主張を全面的に認める裁定を下していた。

中国はパネルの決定を不服とし、4月にWTOの上級委員会に上訴したが、上級委は「中国は輸出制限措置の正当性を立証できなかった」とする最終報告書をまとめ、パネル裁定を支持。中国の敗訴が決まった。

中国はボーキサイト、コークスなど9種類のレアメタルの輸出も制限したが、EUが米国、メキシコとともに提訴し、2012年に勝訴が確定した。中国は同紛争に続く敗訴となる。