英高速鉄道「HS2」開業が最長5年延期へ、大幅な計画見直しも

英政府は3日、国内の主要都市を結ぶ高速鉄道「HS2(High

Speed

Two)」について、開業時期が計画していた2026年から最長で5年遅れるとの見通しを明らかにした。総事業費が当初の見込みより最大で約260億ポンド(約3兆4,000億円)膨らむとの試算も併せて公表した。同プロジェクトをめぐっては、独立委員会が現在、事業の採算性や経済効果などについて検証を進めており、大幅な計画の見直しにつながる可能性がある。

HS2は首都ロンドンとイングランド中北部の総延長約530キロメートルを最高時速360キロで結ぶ事業。計画は2段階で進められ、第1期ではロンドンとバーミンガムを結ぶ約220キロ、第2期ではバーミンガムからマンチェスターとリーズの2方面に分かれる区間を建設する。第1期は26年の開業を目指しており、既に工事が始まっている。

シャップス運輸相は議会に宛てた声明文で、事業主体であるHS2社のアラン・クック会長は第1期の開業時期について、26年は「現実的ではない」として、目標を「28~31年に再設定するよう提言している」と説明。第2期の開業は30~40年になるとの見通しを示した。一方、予備費を含めた総事業費は想定した624億ポンドを大幅に上回り、最終的に810億~880億ポンドに達するとの試算を明らかにした。

英政府は8月下旬、HS2の建設費用が当初の計画から大幅に膨らむ見通しとなり、国内で慎重論が強まっていることを受け、撤回を含めて計画を見直すと発表した。独立委員会は年内に最終報告書をまとめることになっており、政府はそれをもとに今後の方針を決定する。

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