欧州委員会は11日、米製薬大手メルク・アンド・カンパニー(米国以外での社名はメルク・シャープ・アンド・ドーム=MSD)が開発したエボラワクチン「Ervebo」の販売を承認した。欧州医薬品庁(EMA)が10月17日付で承認を勧告しており、欧州委の決定はこれを受けた措置。エボラウイルス感染症の予防ワクチンでは初の販売承認で、アフリカ中部のコンゴ民主共和国で猛威を振るうエボラ出血熱の感染拡大に歯止めがかかると期待されている。
エボラウイルスは血液や体液を介して感染し、進行すると皮膚から出血して致死率は90%に上ることもある。Erveboは西アフリカで1万1,000人以上が死亡した2014年の流行時に開発された注射型のワクチンで、効果は99%に上るとされる。昨年8月に流行が始まったコンゴでは、これまでに2,100人以上が死亡している。世界保健機関(WHO)の緊急事態宣言を受け、同国では医療従事者や感染地域の住人などおよそ23万6,000人が承認前の段階でErveboを接種しているが、周辺国への感染拡大が懸念されている。
欧州委員会のアンドリュカイティス委員(保健衛生・食の安全担当)は声明で「5年前に西アフリカでエボラ出血熱が流行して以来、できるだけ早く有効なワクチンを開発することが国際社会にとって最優先課題だった。Erveboの販売承認は多くの命を救う上で大きな一歩になる」と強調した。