EIBが21年末で化石燃料事業への新規融資停止、東欧諸国の反対で1年延期

欧州投資銀行(EIB)は14日、化石燃料に関連したプロジェクトへの新規融資を2021年末で停止すると発表した。石炭や石油など化石燃料に依存する事業を融資対象から外すことでエネルギー転換を促し、温室効果ガスの削減を加速させるのが狙い。EUの温暖化対策を後押しするため、今後は再生可能エネルギーや分散型エネルギー生産などの事業への支援を拡充する。

EIBは当初、石油・ガス生産や火力発電、天然ガスパイプラインをはじめとするインフラ整備などへの融資を段階的に減らし、21年以降は全面的に停止する方針だった。しかし、化石燃料への依存度が高い東欧諸国などが反発し、調整が難航した。加盟国の財務相らで構成するEIB理事会は、最終的に停止時期を1年先送りすることで合意。さらに融資基準を見直し、550g/kWhの二酸化炭素(CO2)排出基準を250g/kWhに厳格化することを決めた。

EIBのホイヤー総裁は「現代社会において気候変動は最優先の政治課題だ。EIBは長年にわたり、欧州の気候変動対策銀行(Climate

Bank)として活動してきたが、さらに大きな一歩を踏み出すことを決めた。2年後には化石燃料に関連する事業への新規融資を停止し、世界の金融機関の中で最も野心的な投資戦略を実行する」と述べた。

今回の決定により、EU加盟国のうち10カ国でエネルギー分野への投資に影響が及ぶ見通しだ。EIBはこれらの国がプロジェクトに必要な費用の最大75%を調達できるよう、欧州委員会と連携して支援体制を整える方針を示している。

EIBはこのほか、地球温暖化対策のための新たな国際的枠組み「パリ協定」に基づく取り組みが本格化するのに合わせ、21年~30年の10年間で気候変動対策や環境面で持続可能な事業に1兆ユーロを融資する計画を承認した。対象となる事業への融資を段階的に増やし、25年には全体に占める比率を50%まで引き上げる方針を示している。

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