英格安航空会社イージージェットは19日、同日から運航する全ての便を対象にカーボンオフセットを実施すると発表した。二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出量を差し引きでゼロにするカーボンニュートラルな航空輸送サービスの実現に向けた取り組みの一環で、大手航空会社による全運航便でのカーボンオフセットは世界初となる。
カーボンオフセットは温室効果ガス排出量のうち、自らの努力では削減が困難な排出量の一部または全部を、他の地域での排出削減プロジェクト(植林、森林保護、クリーンエネルギー事業など)への投資活動で相殺する手法。同スキームは発展途上国での排出量削減プロジェクトの資金調達を支援する一方、資金を提供する側はプロジェクトを通じて生成される排出削減・吸収量(クレジット)を購入することができる。
イージージェットによると、カーボンオフセットに要する費用は約2,500万ポンド(約35億円)に上る見通し。ヨハン・ラングレン最高経営責任者(CEO)は記者会見で「カーボンオフセットは短期間でCO2排出量を減らすことができる効果的な手法だ。大手航空会社として世界で初めて温室効果ガスを実質排出ゼロにする計画を発表できたことを誇りに思う」と強調。そのうえで、同プログラムは新技術が開発されるまでの「当面の措置」であるとして、長期的な解決策として持続可能な航空燃料や電気旅客機の開発を推進する考えを示した。
イージージェットは2年前から米ライトエレクトリックと共同で、電気モーターとファンを動力源とする短距離路線向け旅客機の開発を進めている。19日には欧州航空機大手エアバスとの間で、電気航空機の共同研究に関する覚書を締結したと発表した。