銀行は収益改善へ支店閉鎖・合併など検討を、EBAが年次報告書で指摘

欧州銀行監督機構(EBA)は11月29日に公表した欧州銀行セクターのリスクと脆弱性に関する年次報告書で、全体としてはバランスシートの改善がみられるものの、マイナス金利政策が長期化する中、収益性の改善に向けて支店の閉鎖や他行との合併、市場からの撤退など思い切った措置が必要になるとの見解を示した。

EBAは隔年で実施しているストレステストの代わりとして、EU域内に拠点を置く131行を対象に実施した調査の結果をもとに報告書をまとめた。銀行の自己資本比率は2019年6月時点で平均14.4%と、前年同期の14.3%から横ばい。不良債権比率は3.6%から3%に低下したものの、自己資本利益率(ROE)は7.2%から7%に悪化した。また、企業の株価が割高か割安かを判断する際の指標となる株価純資産倍率(PBR)が1倍(株価と1株当たり純資産が同等)以上の銀行は全体の28%にとどまった。米国ではこの割合が81%に上る。

EBAは「銀行の収益性向上につながる要素はほとんどない」と強調。持続可能な収益性を確保するため、ライバル行との合併や市場からの撤退を含めて検討する必要があると指摘した。一方、北欧諸国では支店の数を極限まで減らすとともに、自動化を進めたことで大幅な経費削減が実現したとして、店舗網の合理化が有効な打開策になるとの考えを示している。

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