インドネシア産バイオ燃料に相殺関税、EUが正式決定

欧州委員会は9日、インドネシア産のバイオディーゼルに対して、政府の補助金などによってEU域内に不当な安値で輸出しているとして、相殺関税を適用すると発表した。すでに暫定的に課税しているが、正式な措置に切り替える。

欧州委は欧州バイオディーゼル審議会(EBB)の要請に基づき、2018年12月にインドネシア産バイオディーゼルへの反補助金調査を開始。8月に暫定的な相殺関税の適用を開始していた。

その後の調査で、同国のバイオディーゼル生産者が補助金や税制上の優遇措置などを後ろ盾に安値でEUに輸出し、域内の事業者を圧迫していることが確認されたとして、正式に相殺関税を課すことを決めた。税率は8~18%。10日から5年間にわたって適用する。

EUのバイオディーゼル市場は年90億ユーロ規模。うち約4億ユーロをインドネシア産が占めている。

EUはインドネシア産のバイオディーゼルに対して、13年に反ダンピング関税を適用したが、インドネシア政府が世界貿易機関(WTO)に提訴した結果、不当な措置と判断され、中止した。これに代わって反補助金措置を発動した格好となる。

EUはインドネシア産のバイオ燃料に使われるパーム油の原料となるアブラヤシの栽培地が増え、森林破壊が進んでいるとして、同国産のパーム油をバイオ燃料として使わないことを決定済み。これもあってインドネシア政府は今回の相殺関税適用に反発しており、報復措置としてEU産の乳製品への関税を上乗せする可能性がある。

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