欧州銀行監督機構(EBA)は22日、EU域内の銀行に対するストレステスト(健全性審査)の見直しに向けた公開協議を開始した。ストレステストを現状に即したより柔軟で有益なものにするため、銀行がEBAと同じシナリオで自らテストを実施し、結果を公表する仕組みの導入を提案している。4月30日まで意見募集を行い、各方面からの反応を踏まえて新たな枠組みを策定する。
EUでは世界的な金融危機に起因する欧州債務危機で銀行の信用不安が高まった反省を踏まえ、2009年から定期的にストレステストを実施している。EBAは景気の悪化や金融市場の混乱など大きな負荷がかかる状況を想定し、健全性を保つために資本増強が必要かどうかを判断してきたが、現在は大部分の銀行が充実した資本基盤を備えており、ストレステストは本来の役目を終えつつある。
EBAはこうした現状を踏まえ、ストレステストの結果が有効活用されるよう、評価手法の抜本的な見直しが必要と指摘。EBAが特定の銀行について資本増強の必要性を判断したうえで、銀行自身が共通のストレスシナリオでテストを実施し、金融当局と銀行がそれぞれテスト結果を公表するシステムを提案している。EBAによると、銀行による評価はより柔軟なものとなり、不測の事態が生じた場合の損失などを算出する際に一定の裁量権が与えられる。ただし、テスト結果が当局の評価と異なる場合は理由を説明しなければならない。
EBAのストレステストは米連邦準備制度理事会(FRB)と比べて甘いとの批判があり、緩和の動きは市場の反発を招く可能性がある。なお、2020年に実施予定の次回テストは従来の枠組みで行われる。テスト結果は7月に公表される見通しだ。