10~12月のユーロ圏成長率は0.1%、13年1~3月以来の低水準に

EU統計局ユーロスタットが1月31日に発表した2019年10~12月期の域内総生産(GDP、速報値)は実質ベースで前期比0.1%増となり、伸び率は前期の0.3%から0.2ポイント縮小した。フランスとイタリアがマイナス成長に転落したのが大きく、13年1~3月期以来の低水準に後退した。

前年同期比では1%増で、伸び率は前期から0.2ポイント縮小した。EU28カ国ベースのGDPは前期比0.1%増、前年同期比1.1%増。前期と比べると伸び率は前期比が0.2ポイント、前年同期比が0.3ポイント下回った。

19年通期の伸び率はユーロ圏が前年比1.2%、EUが1.4%。ユーロ圏は13年以来の低水準だった。ユーロスタットはGDPの詳細を公表していないが、米中貿易摩擦、英国のEU離脱をめぐる混迷が成長鈍化の大きな要因となったもようだ。

ユーロスタットは国別のGDPを2月14日に公表する予定。ユーロ圏最大の経済国であるドイツのデータがまとまってないため、修正される可能性がある。

これまでにユーロ圏主要国の当局が発表した同期のGDP統計(前期比)によると、フランスは0.1%減、イタリアは0.3%減となり、それぞれ前期の0.3%増、0.1%増からマイナスに転落した。フランスは年金改革をめぐる大規模なストライキが12月に発生して経済活動に打撃を与え、個人消費と設備投資が縮小した。一方、スペインは0.5%増と堅調を維持。伸び率は前期の0.4%から拡大した。

市場では20年について、米中貿易摩擦の緩和、英国がEU離脱協定の批准をめぐる迷走に終止符を打ち、離脱したことで不透明感が薄まり、景気が上向くとの見方が多い。ただ、EUと米国の通商交渉、英国と進める自由貿易協定(FTA)交渉の行方次第で、さらに悪化する懸念もくすぶっている。

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