ドイツ銀行に米投資会社出資、市場は好感

経営再建中のドイツ銀行に米大手投資会社キャピタルグループが出資したことが6日、同行の情報開示で明らかになった。市場はこれを好感。同日の終値は前日を13%上回る9.33ユーロに急伸した。9ユーロを超えるのは2018年第10~12月期以来。過去最低となった昨年夏(5.78ユーロ)に比べると61%上昇した。

ドイツ銀では08年秋のリーマンショックをきっかけとする世界的な金融・経済危機の発生後、住宅ローン担保証券(RMBS)の不正販売や、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作などコンプライアンス(法令遵守)上の問題が表面化。また、資産の評価損も発生し、巨額の引当金計上を余儀なくされてきた。最終損益は15年12月期以降、5期連続で赤字が続いている。

キャピタルグループはそれにもかかわらず、ドイツ銀の株式3.1%を取得した。背景にはクリスティアン・ゼーヴィング頭取が取り組む組織再編を市場が評価し始めていることがある。

ドイツ銀行は昨年7月、大規模な組織再編計画を発表した。企業顧客を対象とする部門を新設するとともに、株式取引事業から撤退するなどして業績の足かせとなっている投資銀行部門を縮小しコストを大幅に削減し、安定的に利益を稼げる体制を構築するというものだ。クリスティアン・ゼーヴィング最高経営責任者(CEO)は「当行を再び顧客に照準を合わせた銀行とすることで、原点に回帰する」と強い決意を述べるとともに、リーマンショック後の10年間で失われた信用を、構造改革の実行を通して回復することに意欲を示した。

組織再編は順調に進んでおり、1月30日に発表した19年12月期決算で純赤字57億1,800万ユーロを計上したにもかかわらず、株価は前日を約4.3%上回る8.31ユーロに上昇。18年秋以来の高水準を付けた。キャピタルグループの出資に伴う今回の株価上昇で回復基調は一段と強まった格好だ。

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