英中央銀行のイングランド銀行は19日、政策金利を0.15ポイント引き下げ、0.10%にすると発表した。今月11日に続く緊急利下げで、金利は過去最低の水準。量的緩和策を拡大し、国債や社債の購入枠を2,000億ポンド増やして総額6,450億ポンド(約83兆円)とすることも決めた。新型コロナウイルスの感染拡大による金融市場の動揺を抑え、資金供給を強化して経済を下支えする。
臨時の金融政策委員会を同日に開き、政策委員9人の全会一致で一連の政策を決定した。11日には政策金利を0.75%から0.25%に引き下げると発表しており、1週間あまりで2度の緊急利下げという異例の措置となった。
一方、量的緩和の拡大は、英国のEU離脱を決めた国民投票後の2016年8月以来、約3年半ぶり。その際、国債の購入枠を従来の3,750億ポンドから4,350億ポンドに拡大すると共に、新たに100億ポンドの社債購入枠を設定し、合わせて4,450億ポンドの残高を維持してきた。今回は全体の購入枠を2,000億ポンド拡大し、社債の買い入れを増やして資金繰りに苦しむ企業を支援する。
ベイリー総裁は電話による会見で、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を背景に、金融市場では「中銀に迅速な行動を求める声が高まっており、経済指標を待つことはできない」と説明。市場の混乱を抑えながら企業などの資金ニーズに対応するため、状況に応じて引き続きあらゆる措置を講じると強調したうえで、マイナス金利については銀行の収益力低下など副作用をもたらす恐れがあると指摘し、改めて「支持しない」との考えを示した。
定例の金融政策委員会は今月25日に開催され、26日に政策が発表される予定だ。