英政府は20日に実施した3年物国債の入札で、37億5000万ポンド(約5,000億円)を調達した。平均落札利回りはマイナス0.003%で、英の中長期国債では初のマイナスとなった。
マイナス利回りの国債の落札者は、表面利率に基づき年0.75%の利息がつくが、満期まで保有すると損が出る。それでも需要があり、応募は発行枠の2.15倍に相当する81億ポンドに達した。
英国では2016年の1カ月物国債の入札で利回りがマイナスとなった例がある。3年物国債の利回りがマイナス化した背景には、英中銀のイングランド銀行が新型コロナウイルス対応で政策金利をマイナスにするとの観測が強まっていることがある。これを受けて2年物国債の流通利回りは前週、マイナス0.051%まで低下していた。
今回の落札利回りのマイナス幅は流通利回りを下回り、投資家にとっては流通市場で買い取るより得だ。政策金利がマイナスとなった場合のリスクヘッジの意味もある。中銀が国債買い入れ規模を6月に拡大することを見込み、英国債を安全資産として購入し、利回り上昇後に流通市場で売却して利益を得ようとする投資家が多かったとみられる。