日産自動車、仏ルノー、三菱自動車の3社連合は5月27日、各社の強みを生かして役割分担し、相互に補完し合う分業戦略を基盤とした新たな中期経営計画を発表した。特定の地域や技術ごとに強みを持つ1社がリーダー役を務め、重複を減らすなど生産を集約して経営の効率化を図る。
アライアンスを率いたカルロス・ゴーン被告の失脚による混乱に加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴う需要の急減で3社はそろって業績が悪化している。3社は連携を強化して車台の共通化などを進め、車両開発に必要な投資額を最大40%削減する。
分業戦略によると、地域別では日産が日本・中国・北米、ルノーが欧州・ロシア・南米・北アフリカ、三菱自は東南アジア諸国連合(ASEAN)・オセアニアを担当。技術開発では運転支援機能を日産が主導するほか、コネクテッドカー向けプラットフォームはルノー、プラグインハイブリッドは三菱自が中心となって開発を進める。
ルノーのジャンドミニク・スナール会長はオンラインでの記者会見で「今後は生産台数より効率性と競争力を重視する」と強調。日産との統合構想については「効率を追求するうえで統合は必要ない」と言明。3社間で統合計画についての話し合いは行われていないと述べた。
一方、ルノーは29日、生き残りをかけた合理化計画の一環として、今後3年間に全世界で約1万5,000人を削減する方針を明らかにした。フランスでは早期退職を促すなどして4,600人を削減し、国外では1万人余りを減らす。同社は世界全体で約18万人を雇用しており、全従業員の約8%が削減の対象となる。
また、同社は3年で20億ユーロのコスト削減を目指す方針を打ち出した。生産能力は19年時点の年400万台から24年までに330万台に引き下げる。
国内6カ所にある生産拠点の将来に関しては、労組の反発などを受けて決定を保留した。地元紙によると、パリ郊外のフラン工場とディエップ工場での完成車の生産打ち切りなどが検討されているもよう。ロシアでも生産能力の縮小を検討しているほか、モロッコとルーマニアでは計画していた生産拡充を見送る。