2020/6/8

総合 – 欧州経済ニュース

ECBが追加量的緩和を決定、資産購入を6千億ユーロ拡大

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は4日に開いた定例政策理事会で、追加の量的金融緩和を決めた。新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を受けたユーロ圏経済を下支えするため3月に導入した資産購入プログラムでの買い取り額を6,000億ユーロ […]

欧州中央銀行(ECB)は4日に開いた定例政策理事会で、追加の量的金融緩和を決めた。新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を受けたユーロ圏経済を下支えするため3月に導入した資産購入プログラムでの買い取り額を6,000億ユーロ増額し、1兆3,500億ユーロに拡大。資産購入の期間も延長する。

ECBは新型コロナウイルス感染拡大への対応として、3月12日の定例政策理事会で年末までに新たに総額1,200億ユーロの資産を買い取ることを決定。それでも新型コロナウイルス感染の欧州の中心地となっているイタリアの国債の急落が続くなど市場の動揺が収まらないため、6日後に緊急理事会を開き、「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」と呼ばれる新たな資産購入プログラムの実施を決め、国債、社債といった資産の購入を拡大することになった。

購入枠は7,500億ユーロだったが、今回の決定で6,000億ユーロ上積みする。20年末としていた購入期間は少なくとも21年6月末まで延長することを決めた。一方、主要政策金利は0%、中銀預金金利はマイナス0.5%に据え置く。

ユーロ圏では移動・店舗などの営業制限が緩和されつつあり、経済活動が徐々に再開に向かっている。それでも今年の景気後退は避けられず、ECBは同日公表した最新の内部経済予測で20年の予想成長率をマイナス8.7%とし、前回(3月)のプラス0.8%から大幅に下方修正。21年についてはプラス5.2%に回復すると予想しているものの、新型コロナ感染の第2波が広がれば、今年のマイナス幅は12.6%に拡大するとの見通しを示した。

さらに、ユーロ圏では物価上昇が圧迫され、5月のインフレ率は4年ぶりの低水準となる前年同月比0.1%に縮小。デフレ突入の懸念も広がっている。内部予測では今年のインフレ率を0.3%とし、前回の1.1%から大きく引き下げた。

こうした状況を受けて、ECBは追加の金融緩和に踏み切った。ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、景気は5月に底入れしたかもしれないが、これまでの回復のスピードは新型コロナ危機による景気悪化のペースと比べて緩く、物価上昇も鈍化しているとして、資産購入拡大の必要性を強調した。

新型コロナ危機に際して経済対策の初動が遅れたという批判を浴びたECBは3月以降、追加の量的緩和に加え、「TLTRO」と呼ばれる長期資金供給オペ(金融機関が融資を増やすことを条件に長期資金を供給するオペ)の拡大、ユーロ圏の銀行がECBから資金供給を受ける際の担保基準の緩和など、切れ目のない対応を行ってきた。今回の資産購入枠の拡大は予想を上回る規模で、市場は歓迎している。これを受けてユーロ圏の国債は同日に値上がりし、利回りが低下。新型コロナで最も深刻な打撃を受けたイタリアの長期国債の利回りは0.14ポイント低下の1.42%となり、ユーロ圏の指標となっているドイツの長期国債との利回り格差が約0.16ポイント縮小した。