英政府は5月29日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で一時帰休を余儀なくされた従業員の給与の80%を補填する企業支援策について、8月から段階的に給付を減らして雇用主の負担とし、10月末で現在の措置を終了すると発表した。政府は6月から段階的に店舗の営業を認め、7月には飲食店や宿泊施設なども再開可能とする方針。しかし、短期間で売り上げをコロナ以前の水準に戻すことは極めて困難で、補填措置の打ち切りで失業者が増える可能性もある。
3月に開始した支援策は、企業の規模や営利か非営利かなどを問わず、従業員の雇用継続を条件に、全ての事業者に対して月額2,500ポンド(約33万円)を上限に、給与の80%を支給するという内容。当初は5月末まで3カ月の予定だったが、政府は4月半ばに6月末まで1カ月の延長を決定。5月半ばには10月末まで現在の枠組みを維持する一方、段階的に雇用主に負担を求める方針を示していた。
発表によると、企業は8月から年金など社会保険料の負担が求められる。9月からはこれに加え、政府が肩代わりしている補填分の10%、10月には20%を負担する必要がある。
3月からこれまでに約840万人が給与支援策を活用しており、国の拠出額は約150億ポンドに達した。スナク財務相は財政負担が増大しており、給与支援をいつまでも続けることはできないと強調。「経済活動が本格的に再開する中、時短勤務が可能になることなどを踏まえて現在のスキームを調整する必要がある」と述べた。