ルンドベックの後発薬投入遅延協定、欧州裁が上訴棄却へ

欧州司法裁判所は4日、デンマークの製薬大手ルンドベックが複数のジェネリック(後発医薬品)メーカーと共謀し、同社が開発した抗うつ剤のジェネリックが市場に投入されるのを遅らせた行為はEU競争法に違反するとして、関係各社に制裁金支払いを命じた欧州委員会の決定を支持する法務官見解を公表した。ルンドベックは欧州委の決定を妥当と結論づけた一般裁判所の判断を不服とし、欧州裁に上訴していたが、これで同社の訴えが退けられる公算が大きくなった。

問題となっているのは、「リバースペイメント」または「ペイ・フォー・ディレイ」と呼ばれるジェネリック医薬品の参入を遅らせるための競争回避行為。欧州委は2013年6月、ルンドベックが自社の抗うつ剤「シタロプラム」の特許が失効してからもジェネリックが出回らないようにするため、複数の後発薬メーカーと協定を結び、後発薬の販売を遅らせる見返りとして数千万ユーロ規模の利益を供与したとの調査結果をまとめ、ルンドベックと共謀した9社に総額1億4,600万ユーロの制裁金支払いを命じた。このうちルンドベックへの制裁金は9,370万ユーロ。

ルンドベックは違法性を否定し、同年9月に提訴。一般裁判所は16年9月、協定を結んだ各社はすでにルンドベックと潜在的競合関係にあったと指摘し、10社間の取り決めはEU法が禁止する「競争制限を目的とする契約/協定」に該当するとして、欧州委の決定を支持した。ルンドベックは判決を不服とし、欧州裁に上訴していた。

欧州裁のユリアーネ・ココット法務官は「ルンドベックはジェネリックの市場投入を遅らせる目的以外に、ジェネリックメーカーに利益を供与した理由を説明できていない」と指摘。10社による協定は違法な競争回避行為にあたるとの見解を示し、一般裁判所の判断を支持した。

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