欧州委員会は22日、ロンドン証券取引所(LSE)グループが金融情報会社の米リフィニティブを買収する計画について、競争上の懸念があるとして、本格的な調査を開始したと発表した。欧州の国債電子取引などでの寡占を問題視している。
リフィニティブは2018年10月にニュース・情報サービスのトムソン・ロイターの金融・リスク部門が分離して発足した企業。金融情報提供、リスク管理などのサービスや金融商品の電子取引のプラットフォームを運営している。LSEは19年8月、同社を270億ドルで買収することで合意したと発表していた。株式売買の支援など取引所の伝統的な事業の収益が頭打ちとなるなか、リフィニティブの膨大なデータを利用して情報サービスを強化し、世界規模での事業拡大を図る狙いがある。
欧州委の初期調査では、LSEとリフィニティブが欧州の国債の電子取引で大手となっており、LSEが買収によって同分野でのシェアを大きく拡大し、支配力を強めて新規参入が難しくなる恐れがあることが判明。金利デリバティブ取引などでも同様の問題があるとして、現時点での承認を見送り、改めて詳細な審査を行うことを決めた。10月27日までに買収の可否を最終判断する。