EUが欧州裁に上訴、ハチソンのO2買収阻止めぐり

欧州委員会は7月29日、香港の複合企業CKハチソン・ホールディングスによる英携帯電話サービス会社O2の買収を阻止した問題で、欧州司法裁判所の一般裁判所が同決定を無効とする判決を下したのを不服として、上訴すると発表した。

ハチソンは2015年、スペイン通信最大手テレフォニカからO2を102億5,000万ポンドで買収することで合意。O2を傘下の英携帯電話サービス会社スリーと統合する方針を打ち出した。

これに関して欧州委は16年、買収を認めると英国の同市場が4社体制からEE、ボーダフォンを含めた3社に減り、寡占化が進んでサービス料金上昇などの弊害を招くとして、買収計画の承認を拒否。これに反発してハチソンが提訴した結果、下級審の一般裁判所は5月、原告側の主張を認め、欧州委の決定を無効とする判決を下した。

一般裁判所は欧州委が買収認可の審査に際して、O2とスリーの統合が英携帯電話サービス市場の競争に及ぼすマイナス効果の算定で間違いを犯すなど複数のミスがあったと認定。料金が上昇し、競争に悪影響を及ぼすことを立証できなかったとして、ハチソンに軍配を上げた。しかし、欧州委は判決内容を不服とし、上級審の欧州裁に上訴することを決めた。

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