ロンドン証券取引所(LSE)は18日、傘下のイタリア取引所の売却について、フランスを本拠とする欧州の多国籍取引所ユーロネクストと独占的な交渉を開始したと発表した。イタリア取引所の買収にはドイツ取引所なども名乗りを上げていたが、イタリア勢と組むユーロネクストの提案を優先し、まず交渉に入ることを決めた。
LSEは2019年8月、金融情報やリスク管理などのサービスを提供するリフィニティブを270億ドルで買収すると発表した。ただ、EUの欧州委員会が、LSEとリフィニティブが欧州の国債の電子取引で大手となっており、LSEが買収によって同分野でのシェアを大きく拡大することなどを問題視し、認可に難色を示していることから、伊国債を中心とする債券の電子取引システムを運営するMTSを持つイタリア取引所の売却に乗り出している。
パリ、ブリュッセル、アムステルダム、リスボン、ダブリン、オスロの証券取引所を運営するユーロネクストは、イタリア政府系金融機関の預託貸付公庫(CDP)、伊大手銀行のインテーザ・サンパオロと共同でイタリア取引所を買収する計画。提示した買収額は不明だが、35~40億ユーロ程度に上ると推定されている。
ユーロネクストはミラノ証券取引所を運営するイタリア取引所を買収すれば、新たな有力取引所が傘下に加わり、欧州での基盤を大きく強化できる。
CDP、インテーザ・サンパオロと組んだのは、伊国債の大半が取引されるMTSの支配権をめぐる政府の懸念に対応するのが狙いと目される。買収が実現すれば、CDPとインテーザ・サンパオロがユーロネクストの増資を引き受けて大株主となり、イタリア人がユーロネクストの取締役会長になることで合意している。
LSEは欧州委がリフィニティブ買収の可否を最終判断する12月16日までに、イタリア取引所の売却で合意したい考えだ。
ユーロネクストは11日、イタリア取引所の買収を検討していると発表した。これに対抗し、ドイツ取引所とスイス証券取引所を運営するSIXグループも買収を提案していた。