首脳会議でベラルーシ制裁を正式決定、ルカシェンコ大統領は対象外

EU加盟国は1日に開いた首脳会議で、大統領選後の混乱が続くベラルーシへの制裁で合意した。選挙結果の改ざんや反体制派の弾圧に関与した当局者ら約40人に対し、EU域内の資産凍結や渡航制限を科す。ただ、ルカシェンコ大統領は対象に含まれていない。

ミシェルEU大統領は記者会見で、ルカシェンコ氏が6選を決めた8月の大統領選をEUとして認めないことを改めて確認したと説明。「ベラルーシの国民には自国の将来を決める権利がある」と強調し、公正かつ民主的な再選挙の実施を支援する方針を示した。制裁対象にルカシェンコ氏が含まれていない理由については言及を避けたが、「引き続き状況を注視する」と述べ、今後の情勢によってはリストに加える考えを示唆した。

EUは8月下旬の臨時首脳会議で、ベラルーシの大統領選で不正があったと認定し、関与した当局者らに制裁を科す方針で一致した。しかし9月下旬の外相理事会では、キプロスが東地中海のガス田開発を巡り、対立するトルコにも制裁を科すよう要求。同じく権益を主張するギリシャが北大西洋条約機構(NATO)の仲介による対話に応じるなか、キプロスはトルコへの制裁をベラルーシ制裁承認の条件とし、全会一致が必要な決定を阻止して制裁に待ったをかけた。英国やカナダがベラルーシへの制裁を決める一方で、EUは意思決定できない状態に陥り、対応の遅れによる信用失墜などを懸念する声も出ていた。

首脳会議の声明文は、トルコが「一方的な行動」を続けた場合、EUは「あらゆる手段を講じてEUと加盟国の利益を守る」と警告し、制裁をちらつかせる一方、ギリシャやキプロスとの対話で歩み寄りの姿勢がみられれば、関税同盟の更新や難民政策に絡んだ資金支援など「前向きな政治課題」で連携を深める用意があると表明。トルコの対応によっては制裁も辞さない構えを示すことでキプロスの合意を取りつけ、全会一致でベラルーシへの制裁を正式決定した。

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