英製薬大手のアストラゼネカは23日、英オックスフォード大学と共同開発している新型コロナウイルスのワクチンについて、全世界で臨床試験(治験)を再開したと発表した。参加者の1人に副反応が疑われる症状がみられたため、9月に全ての治験を一時中断。米国以外では既に再開されていたが、米食品医薬品局(FDA)が同日、安全性が確認されたとして同国での治験再開を許可した。
アストラゼネカは現在、英国、米国、ブラジル、南アフリカ、日本で治験を実施している。英国で進められている最終段階の治験で被験者の1人に深刻な神経症状がみられたため、9月6日からすべての治験を一時中断した。しかし、独立委員会によるデータ分析で安全性が確認されたとして、英当局の許可を得て同12日から治験を再開。ブラジルや南アフリカなどに続き、日本でも今月2日から治験が再開されたが、米国では中断が続いていた。
一方、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)も同日、中断している治験を再開する方針を発表した。同社は参加者1人に原因不明の疾患が発生したとして、今月12日から全ての治験を中断している。J&Jは疾患の原因は特定されていないものの、精査の結果、「ワクチンが治験参加者にみられる症状を引き起こしたという根拠は確認されなかった」と説明。データ安全性モニタリング委員会(DSMB)の勧告に基づき、月内にも治験を再開する方向で準備を進めていることを明らかにした。