欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/9/22

総合 – 欧州経済ニュース

ECBの長期資金供給オペ、初回入札は低調

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は18日、ユーロ圏の銀行を対象とする新たな長期資金供給オペ(LTRO)の第1回の入札を実施し、応札した255銀行に総額826億ユーロを供給した。ただ、需要は低調で、応札は予想を大きく下回った。 EC […]

欧州中央銀行(ECB)は18日、ユーロ圏の銀行を対象とする新たな長期資金供給オペ(LTRO)の第1回の入札を実施し、応札した255銀行に総額826億ユーロを供給した。ただ、需要は低調で、応札は予想を大きく下回った。

ECBによる長期資金供給は、ユーロ圏のデフレ回避、景気対策として6月に決めた包括的な追加金融緩和策の一部。ユーロ圏の銀行の貸し渋りを改善し、実体経済に回る資金を増やす狙いがある。9月から16年6月まで計8回のオペを実施し、政策金利に0.1%を上乗せした低利の長期資金を供給する。返済期限は各オペとも18年9月で、初回オペでの借り入れは返済期間が4年となる。

ECBはギリシャに端を発した信用不安が深刻化していた2011年12月から13年2月にかけて、ユーロ圏の銀行に過去最長となる3年物の低利資金を無制限で供給したが、銀行が資金を主に国債購入に使い、貸し渋り解消効果は薄かった。このため、新たな一連のオペでは、資金の用途を限定し、企業や個人への貸し出しを増やすことが条件となる。9、12月のオペでは、各金融機関に今年4月末時点の融資残高(金融機関向け融資と住宅ローンを除く)の最大7%に相当する額を供給。その後のオペは、融資増加分に応じて資金供給を増やす仕組みとなる。主に資金繰りが厳しい中小企業への融資を促進し、景気を底上げする意図がある。

ECBは年内の2回のオペで総額4,000億ユーロの供給を想定しており、市場は初回に少なくとも1,000億ユーロの応札があると予想していた。需要が予想を大きく下回ったことで、銀行が融資拡大に消極的なことが確認された格好となり、ECBに新たな対応を求める声が強まりそうだ。