スペイン政府、エア・ヨーロッパへの公的支援を承認

スペイン政府は3日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で経営難に陥っている同国の大手航空会社エア・ヨーロッパに4億7,500億ユーロの公的支援を実施することを承認したと発表した。ただ、条件として英インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)によるエア・ヨーロッパ買収に政府が介入することを求めている。

政府はコロナ禍で苦境にある戦略的に重要な企業を支援するため創設した基金を通じて、エア・ヨーロッパに同額を融資する。うち2億4,000万ユーロは株式を担保とする融資となる。返済期間は最長6年。

エア・ヨーロッパはマドリードを拠点に、中南米・カリブ海諸国への長距離路線、国内線を運航する航空会社。コロナ禍の影響で2020年4~6月期の運行本数は95%も減少し、経営が急速に悪化している。

同社をめぐっては、英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)とスペインのイベリア航空などの親会社であるIAGが19年11月、10億ユーロで買収することで合意したと発表していた。しかし、コロナ禍に伴う航空業界の危機を受けて、IAGは買収額の引き下げを求めている。

スペイン政府の報道官は記者会見で、公的支援の条件となる介入が何を意味するかについて、同買収計画に「意見を出す権利と、基準を決める権利だ」と述べるにとどまり、明示を避けた。IAGとエア・ヨーロッパはコメントを控えている。

コロナ禍で大きな打撃を受けているEUの大手航空会社では、これまでにエールフランスKLMが仏、オランダ政府から計104億ユーロ、ルフトハンザが独政府から90億ユーロの支援を受けた。

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