2種のコロナワクチン、EMAが12月後半にも承認へ

EUは19日、オンライン形式で首脳会議を開き、新型コロナウイルス対策について協議した。欧州委員会のフォンデアライエン委員長は会議後の記者会見で、臨床試験で90%超える予防効果が確認されたとされる2種類のワクチン候補について、欧州医薬品庁(EMA)が12月後半にも条件付きで販売を承認する可能性があると明らかにした。EMAは最も開発が進んでいる数種類のワクチンを対象に、「ローリングレビュー(逐次審査)」と呼ばれる審査を迅速化する手続きを進めており、実用化が現実味を帯びてきた。

早期承認が見込まれるのは、米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬品会社ビオンテックが共同開発するワクチンと、米バイオ医薬品モデルナが開発中のワクチン。両者は今月に入り、それぞれ95%と94.5%の予防効果が確認できたとする臨床試験の結果を公表した。このうちファイザーは20日、米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請しており、承認されれば年内にも米国で接種が開始される見通し。同社は欧州や日本、カナダ、オーストラリアなどにもワクチンを発送済みで、近くEMAを含む各国当局に承認を申請する。

フォンデアライエン氏は記者団に対し「EMAはFDAと同時進行で承認手続きを進めるため、日々連絡を取り合っている。審査の過程で問題がなければ、2つのワクチンが12月後半にも条件付き販売承認を取得する可能性があるとの報告を受けている」と述べた。そのうえで、EUとして当初確保できるワクチンは「少量にとどまる」との見通しを示し、加盟国に優先接種する対象を絞り込むなど、接種計画の策定を急ぐよう求めた。

欧州委はこれまでにファイザー・ビオンテック連合を含む5グループとワクチン供給契約を締結し、少なくとも合計12億回分を確保している。モデルナとも8月に予備交渉を終えており、フォンデアライエン氏は同社とも「できるだけ早期に」正式契約を結びたいと発言。さらに米バイオテクノロジー企業ノババックスともワクチン確保に向け、現在「協議を進めている」と明らかにした。

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