欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/9/22

EUその他

受託手荷物への課金は可、欧州裁が判決

この記事の要約

欧州司法裁判所は18日、航空会社が預け入れ手荷物(受託手荷物)に追加料金を課すことを認める判決を下した。機内持ち込み手荷物と異なり、受託手荷物の運搬は「補完的サービス」にあたるため、航空運賃とは別にあらかじめ定めた料金を […]

欧州司法裁判所は18日、航空会社が預け入れ手荷物(受託手荷物)に追加料金を課すことを認める判決を下した。機内持ち込み手荷物と異なり、受託手荷物の運搬は「補完的サービス」にあたるため、航空運賃とは別にあらかじめ定めた料金を課すことができると判断した。

今回の事案はスペインの格安航空会社ブエリング航空の利用者が受託手荷物に追加料金を請求されたことについて、同国の消費者保護当局に苦情を申し立てたことが発端。スペイン北西部ラコルーニャ~アムステルダム便を利用したこの乗客は、往復航空券代とは別に40ユーロの手荷物料金を支払ったという。当局は受託手荷物に追加料金を課すことは国内法に違反するとして、ブエリングに3,000ユーロの罰金支払いを命じたが、ブエリングは決定を不服として提訴。スペインの裁判所が欧州裁にEU法との整合性について判断を求めていた。

欧州裁は判決で、欧州の航空業界では運賃を低く抑える代わりに受託手荷物を有料化する動きが広がっており、これに対応して機内持ち込みの手荷物だけで移動する利用者も増えていると指摘。「こうした状況を考慮すると、受託手荷物の運搬を乗客輸送に付随する義務的または必要不可欠なサービスとみなすことはできない」とし、航空会社に対して補完的サービスへの課金を禁止したスペインの法律はEU法に違反すると結論づけた。

欧州ではほとんどの格安航空会社が受託手荷物を有料化しており、徹底したコスト削減が求められるなかで貴重な収益源になっている。このため欧州裁がスペイン当局によるブエリングへの罰金命令を妥当と判断した場合、格安航空会社はビジネスモデルの見直しを迫られるところだった。