オランダに本社を置く食品スーパー大手アホールド・デレーズは18日、食材宅配サービスの米フレッシュディレクトを買収すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大で外出を控える動きが広がるなか、オンラインで食材を購入する消費者が急増しており、アホールドは生鮮食品に強みを持つフレッシュディレクトを傘下に入れてネット宅配事業を強化する。
アホールドはフレッシュディレクトの過半数株式を取得する。金額面など取引の詳細は公表されていない。一方、米投資会社センターブリッジ・パートナーズもフレッシュディレクトの株式20%を取得する。アホールドは買収後もフレッシュディレクトを独立したブランドとして運営する方針で、2021年第1四半期の手続き完了を見込む。
フレッシュディレクトは1999年創業。拠点を置くニューヨークのほか、フィラデルフィアやワシントンD.C.など大都市圏を中心に生鮮食品や日用品のネット宅配事業を展開している。
アホールドは16年にオランダのロイヤル・アホールドとベルギーのデレーズが合併して誕生した持ち株会社。欧州と米国に拠点を置く約20のブランドを保有・運営している。米国では「フードライオン」「ストップ&ショップ」「ジャイアント・フード」などの食品スーパーマーケットや、ネット宅配サービス「ピーポッド」などを展開している。
食品専門のeコマースプラットフォームを運営する米メルカトゥスと米調査会社インサイシブの最新リポートによると、約1兆400万ドルの米食品市場でネット通販の占める割合は10.2%に上り、19年の約3倍に拡大する見通し。25年にはこの割合が21.5%に達すると予測している。
アホールドのフランス・ミュラー最高経営責任者(CEO)は「フレッシュディレクトの買収を通じて高い収益が見込めるニューヨークでより多くの顧客を獲得し、コロナ禍で需要が急拡大している生鮮食品のネット販売事業を強化できる」とコメントした。