ECBが気候変動・環境リスク対応の指針公表、22年にストレステスト実施へ

欧州中央銀行(ECB)は27日、ユーロ圏の主要銀行が気候変動や環境リスクをどのように評価し、情報開示すべきかについての指針を公表した。銀行は今回の指針に基づき、ビジネスモデルや経営戦略、ガバナンス、リスク管理、開示の各分野で気候変動による自然災害や、脱炭素化に向けた取り組みによる産業構造の転換などの影響を考慮することが求められる。

計画によると、ECBは2021年初めに各行に対し、例えば異常気象による災害が発生しやすい場所にある保有資産や、エネルギー集約型企業の株式など、それぞれ直面するリスクを指針に基づいて自己評価し、リスク対応計画を策定するよう求める。その上で各行との協議を進め、22年には気候変動や環境リスクが銀行の経営に与える影響に重点を置いたストレステスト(健全性審査)を実施する。ストレステストの実施方法など詳細は21年に公表される。

一方、ECBが同日公表した報告書によると、ユーロ圏の主要銀行のうち、気候変動や環境リスクに関連した情報開示ができているのは3%にとどまった。ECBは「銀行は気候変動リスクに関する情報開示で後れを取っている」と指摘し、EUが目標とする50年までの気候中立の実現に向けて対応を急ぐよう求めた。

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