アストラゼネカのコロナワクチン、70%の有効性確認

英製薬大手アストラゼネカは23日、オックスフォード大学と共同開発している新型コロナウイルスのワクチンについて、最終段階の臨床試験(治験)で平均70%の効果が確認されたと発表した。欧米の製薬大手が開発中の同ワクチンで高い有効性が確認されたのは3例目となる。

開発中の新薬「AZD7442」は、2種類のモノクローナル抗体を組み合わせたもの。モノクローナル抗体は抗原をピンポイントでねらい撃ちする免疫細胞の抗体を人工的に作った、いわば抗体のクローンで、AZD7442は新型コロナウイルスに感染した細胞への作用に特化した新薬となる。

アストラゼネカによると、有効性が確認されたのは英国とブラジルでの治験。予定通り1カ月以上の間隔を空けて2回分を投与した場合の効果は62%だったが、1回目に半量、2回目に定量を投与した場合は90%に跳ね上がり、平均で70%の効果が示された。

新型コロナのワクチンをめぐっては、これまでに米ファイザーと独バイオ医薬品会社ビオンテックが共同開発するワクチンと、米モデルナが開発中のワクチンでそれぞれ95%、94.5%の効果が確認された。アストラゼネカのワクチンは2社を下回るものの、米国とEUで求められる50%を大きく超える。さらに、2社のような超低温管理が不要で、流通の問題が小さいほか、価格も安いという利点がある。

アストラゼネカは直ちに同ワクチンの承認を関係国・地域の当局に申請する。年内に2億回分、2021年3月までに7億回分を供給できる体制が整う予定だ。1億回分を調達する契約を結んでいる英政府のハンコック保健相は23日、国内では12月にも接種を開始できるとの見方を表明。ジョンソン首相は国会で「コロナ感染から解放される日が近づいてきた」と述べた。

効果が90%となった1回目に半量投与のケースは、治験のミスで生じたもの。これが結果的に幸いしたことから、同社は追加の治験を実施し、同方式で本当に90%の効果が出るかどうかを改めて確認する。

一方、28日付の英フィナンシャル・タイムズ(電子版)は、英政府が4,000万回分を調達する契約を結んでいるファイザーとビオンテックのワクチンについて、近日中に同国当局が承認し、12月7日に接種を開始すると報じた。

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