ロンドン証取のリフィニティブ買収、欧州委が条件付きで承認

欧州委員会は13日、ロンドン証券取引所(LSE)グループが金融情報会社の米リフィニティブを買収する計画を承認したと発表した。競争上の問題で難色を示していたが、LSEが是正措置として傘下のイタリア取引所の売却を決めたことなどから、その実施を条件に認可した。

リフィニティブはニュース・情報サービスのトムソン・ロイターの金融・リスク部門が分離し、2018年10月に発足した企業。金融情報提供、リスク管理などのサービスや金融商品の電子取引のプラットフォームを運営している。LSEは19年8月、同社を270億ドルで買収することで合意したと発表していた。株式売買の支援など取引所の伝統的な事業の収益が頭打ちとなるなか、リフィニティブの膨大なデータを利用した情報サービスを強化し、世界規模での事業拡大を図る狙いがある。

欧州委の初期調査では、LSEとリフィニティブが欧州の国債の電子取引で大手となっているため、LSEが買収によって同分野でのシェアを大きく拡大し、支配力を強めて新規参入が難しくなる恐れがあることが判明。金利デリバティブ取引などでも同様の問題があるとして承認を見送り、20年6月から本格的な調査を開始していた。

これに対してLSEは20年10月、伊国債を中心とする債券の電子取引システムを運営するMTSを持つイタリア取引所を欧州の多国籍取引所ユーロネクストに売却することで合意したと発表。このほか、金利を対象とする店頭デリバティブ取引の決済サービス、LSEの取引データについて、10年間は競合企業を含む外部の事業者に提供し続けることを約束した。

欧州委は同措置によって競争上の懸念が払しょくされるとして、承認に踏み切った。LSE はEUの承認により、買収手続きが3月末までに完了するとしている。

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