ドイツのアンゲラ・メルケル首相と国内16州の首相は10日、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための措置を延長することで合意した。12月中旬に開始した本格的なロックダウンの効果で新規感染者数は大幅に減少したものの、従来のウイルスより感染力が高い変異株の感染が急速に増えていることから、14日を期限としていた現行規制を3月7日まで延長することにした。
人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数はピーク時に150人を超え、感染経路の追跡・遮断が可能な水準(同50人)の3倍以上に達していた。これが9日には68人まで低下。昨年10月末以降で初めて70人を下回った。これまでのところ再増加の兆しはなく、州によっては50人ラインを近日中に下回る可能性がある。
一方で、変異ウイルスの感染者数は増えている。ロベルト・コッホ研究所(RKI)によると、ウイルスの遺伝子配列検査が行われた検体に占める英国型変異株の疑いのある検体の割合は2月第1週(1~7日)に11.2%となり、前週(1月25~31日)の4.8%から2倍以上に拡大した。南アフリカ型も0.3%から0.8%に増えている。
こうした状況下でコロナ規制を緩和するとこれまでの努力が無駄になりかねないことから、国と州は制限措置の延長を決めた。私的な会合で家族のメンバーと家族以外の2人以上が会うことや、公共交通機関と店舗を医療用マスクなしで利用することがこれまでに引き続き禁止される。また、企業は被用者の在宅勤務を可能な限り認めなければならない。
食料品店やドラッグストアなど一部の例外を除く小売店とサービス事業者の店舗営業を禁止する措置も継続される。ただ、美容・理容店については予約制により来店者数を制限することなどを条件に3月1日から営業が認められる。散髪は衛生上重要と判断した。美容・理容店は12月中旬から営業が禁止されている。
国と州は今回、小売店および、顧客に至近距離でサービスを提供する理容・美容店以外の事業者の店舗営業解禁の目安も取り決めた。人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数が安定的に35人以下にとどまる地域では営業を再開できるようにする。飲食店やホテルについては制限解除の具体的な条件を今後、詰めていく。
学校と保育施設については子供への影響と仕事を持つ親の負担を踏まえ、対面授業などを段階的に再開する方向を確認した。具体的な政策は各州が決める。早い州では週明けの15日にも対面授業を再開する。