三井物産のベルギー農薬販社買収、欧州委が条件付き承認

欧州委員会は11日、三井物産によるベルギーの農薬販売会社ベルチム・クロップ・プロテクションの買収計画を条件付きで承認した。当初は買収を認めた場合、作物保護製品の分野で寡占化が進んで価格上昇を招く恐れがあるとの見方を示していたが、三井物産が欧州委に提示した顧客との販売契約を第三者に譲渡するなどの対応策を実行することを条件に、買収計画を承認した。

三井物産は欧州販売子会社のセルティス・ヨーロッパ(オランダ)を通じ、微生物を利用した生物農薬などを販売している。同社は2019年12月、欧州農薬事業統括会社であるミツイ・アグリサイエンス・インターナショナル(MASI)を通じ、ベルチムの株式62%を取得すると発表した。

欧州委は初期段階の調査から、両社の取引を認めた場合、貯蔵されたジャガイモの発芽を抑制するための植物成長調整剤(PGR)や、種イモや花球根のウイルスの拡散を防ぐために使用されるパラフィン油の販売で寡占化が進み、価格上昇を招く恐れがあるとの懸念を表明。三井物産はこれを受け、ドイツとポーランド、北欧向けのジャガイモ用PGRの販売契約と顧客管理を第三者に譲渡するほか、オランダ市場でベルチムが結んだパラフィン油の販売契約を第三者に譲渡することを欧州委に提案した。

欧州委はこれらの措置により競争上の懸念は解消されると判断。提案した是正策を確実に実行することを条件に、買収計画を承認した。

上部へスクロール