欧州委員会はEU加盟国の財政赤字を厳しく制限する財政規律の適用を一時的に停止する措置について、延長の可否を今春に判断する方針だ。ジェンティローニ委員(経済担当)が16日の記者会見で明らかにした。
EUの財政規律を定めた安定成長協定は、各国に毎年の財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内に抑えることなどを義務付けている。欧州委は2020年3月、新型コロナウイルスの感染拡大による経済危機を受けて、各国が苦境にある企業への支援などを柔軟に行えるようにするため、財政規律の適用停止を決定。2021年末まで継続することになっている。
欧州委は域内で新型コロナのワクチン接種が開始され、経済活動再開が進むと期待していることから、財政規律の正常化に着手するもよう。22年も特例措置を継続するかどうかを3月初めに判断し、「ガイダンス」の形で各国に通知する。
ジェンティローニ委員は判断のタイミングを今春とすることについて、正常化する場合に十分な準備期間を各国に与えるためと説明している。