英国のEU離脱が同国のペットフード業界にも大きな打撃を与えている。離脱の移行期間が終了したことで、EUへの輸出に通関手続きと検査が必要となっているためで、業界団体のペットフード生産者協会(PFMA)によると加盟事業者の3分の2が手続きの問題などで輸出ができない状況に陥っている。
英国とEUの自由貿易協定(FTA)は1月に発効し、関税ゼロでの貿易が維持されているが、通関手続きが必要となっている。さらに、動物由来の原料を使うペットフードなどは、EUから指定検疫物に指定されているため、英国の事業者は輸出衛生証明を取得しなければならない。
PFMAが2月中旬までに実施した調査によると、今年に入ってEUに輸出しようとした事業者のうち、輸出できたのは3分の1だけだった。輸出衛生証明取得の手続きが複雑な上、検査を行う獣医官が不足していることが障害となっている。輸送業者がトラブルを嫌い、ペットフードの受け入れを断るケースがあることも大きいという。
英国では同様の理由で魚介類、豚肉などの輸出が困難になっていることが問題となっていた。英国からEUへのペットフード輸出額は年2億8,500万ポンド(約420億円)規模に上る。