英政府統計局(ONS)が12日発表した貿易統計によると、1月のEU向け物品輸出は前月比40.7%減、EUからの輸入も同28.8%減と、ともに過去最大の落ち込みとなった。EU離脱の移行期間が終了し、英国が昨年末に完全離脱したことで新たな通関手続きが必要になったことが影響した。
1月の対EU貿易額は前年同月との比較でも輸出が38.6%減、輸入が15.8%減と急落した。
EUと英国は新たに自由貿易協定(FTA)を結んで引き続き関税ゼロを維持したが、完全離脱に伴い申告や検査などの通関手続きが復活し、一部で輸出入を控える動きが広がった。例えばスコットランド海産物協会によると、新たな規制で通関手続きに従来の6倍の時間がかかり、魚介類の鮮度が落ちることへの懸念から輸出を見送る業者が続出した。こうした影響で、食品と家畜の輸出額は64%減少した。
英国では新型コロナウイルス感染拡大を受けてロックダウン(都市封鎖)が実施されており、経済活動の鈍化も響いた。さらに1月は移行期間終了後の物流の混乱に備え、EUと英国の双方で20年末にかけて在庫を積み増していた反動も出たとみられる。
EU域外への輸出は3.6%増と堅調だったが、英国にとって最大の貿易相手であるEU向けの落ち込みが大きく、1月の輸出総額は19.3%減と低調だった。EU域外を含めた輸入総額は21.6%減だった。