2021/3/22

EU情報

EU共通のワクチン証明書発行、欧州委が法案提出

この記事の要約

欧州委員会は17日、新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた人などにEU共通の証明書を発行し、域内を自由に移動できるようにする制度の導入に向けた法案を発表した。夏の観光シーズン前の導入を目指す。「デジタル・グリーン証明書 […]

欧州委員会は17日、新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた人などにEU共通の証明書を発行し、域内を自由に移動できるようにする制度の導入に向けた法案を発表した。夏の観光シーズン前の導入を目指す。

「デジタル・グリーン証明書」と命名した同証明書は、新型コロナワクチンを接種した人とPCR検査で陰性の人、コロナに感染して回復した人に無料で発行される。EU市民だけでなく、EUに居住している域外出身者も対象とする。ノルウェー、スイス、アイスランド、リヒテンシュタインの参加も視野に入れる。

ワクチンに関しては、EUの欧州医薬品庁(EMA)が承認したワクチンだけでなく、加盟国が独自に承認したワクチンを接種した場合も証明書を発行する。ワクチンが不足する中、東欧諸国の一部がロシア、中国製ワクチンを承認し、接種を開始していることに配慮した。

証明書はスマートフォンなどに保存されるデジタル方式と紙方式の両方で取得可能。取得した人は域内の各国を入国後にQRコード化された対象者のデータ(氏名、生年月日、接種したワクチンの種類、接種日や検査の記録など)を越境時にチェックする仕組みとなる。

EUでは他の加盟国に観光目的で渡航する際も一定期間の隔離などを求められることなく入国できるようにすることで、域内の人の自由な移動を取り戻し、コロナ禍で大打撃を受けている観光、ホテル、航空業界を支援するため、世界的に「ワクチンパスポート」と称される同制度を導入する案が浮上。欧州委は1日、月内に関連法案を発表する意向を表明していた。

欧州委は同制度を世界保健機関(WHO)がコロナ禍終息を宣言するまで運用する方針だ。法案はEU加盟国と欧州議会の承認が必要。25、26日に開催されるEU首脳会議で協議される。

ワクチンパスポート導入をめぐっては、ギリシャやスペインなど観光業が経済の大きな柱となっている国々が強く支持している。ただ、フランスなど多くの国は制度自体には賛同しているものの、域内でワクチンを接種した人が一部にとどまっていることから未接種者への差別になるとして慎重な姿勢で、制度の詳細を示す法案の内容次第で反対に回る可能性がある。

このため、欧州委は接種者だけでなく、渡航先で新型コロナ感染を拡大させるリスクが低い検査で陰性の人なども含めて証明書を発行することを提案。証明書の名称についてもワクチンという言葉を使わず、デジタル・グリーン証明書とし、幅広い人を対象とすることをアピールした。