アストラ製ワクチンの接種再開進む、EMA「血栓との因果関係なし」

欧州医薬品庁(EMA)は18日、英製薬大手アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンについて、指摘されていた血栓とワクチン接種の因果関係はないと結論づけた。EMAが安全性を確認し、改めて接種を推奨する立場を明確にしたことで、接種を一時見合わせていたドイツやフランス、イタリアなどは19日から接種を再開した。ただ、北欧諸国は接種再開に慎重な姿勢を見せており、EU市民の間でアストラゼネカ製ワクチンを敬遠する動きが広がる可能性もある。

EMAのクック長官は記者会見で、「アストラゼネカのワクチンは安全で有効であるとの明確な結論に達した。接種と血栓のリスクに関係性は認められず、ワクチンのメリットが副反応のリスクを上回る」と強調。そのうえで、血栓の中でもごくまれに起きる重篤な症状については現時点のデータから関連性を完全に排除することはできないとし、さらに詳しく検証すると説明した。

アストラゼネカのワクチンをめぐっては、オーストリア当局が今月7日、49歳の女性看護師が接種から10日後に死亡したのを受けて同じ製造ロット番号の接種を停止。その後、ワクチン接種後に血栓ができる事例が相次いで報告され、ドイツやフランスなど欧州の15カ国以上が「予防的措置」として接種を中断していた。

ロイター通信によると、今月10日時点で欧州経済圏(EEA)でアストラゼネカのワクチンを接種した約500万人のうち、血栓の症例が報告されたのは30件。

EMAの発表を受け、ドイツ、フランス、イタリア、スペインなどは同日、接種の再開を表明した。一方、スウェーデン、ノルウェー、デンマークなどはさらにデータを精査して接種を再開するかどうか慎重に判断する方針を示している。

一方アストラゼネカのテイラー最高医療責任者は18日、「当社のワクチンの有用性がEU当局によって確認されたことを歓迎する」とコメント。副反応に関するデータを引き続き分析し、EMAと各国当局に最新の情報を提供すると述べた。

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