欧州委員長、英へのワクチン輸出制限を示唆

新型コロナウイルスワクチンの供給を巡り、EUと英国の関係がさらに悪化している。欧州委員会のフォンデアライエン委員長は17日の記者会見で、EU内で製造された新型コロナウイルスワクチンの域外輸出について、「相互主義と開放性」に基づいて輸出規制強化を検討する方針を示した。欧州は新型コロナ感染拡大の第3波に見舞われており、供給不足から接種計画が大幅に遅れる中、貴重なワクチンをEU市民のために確保するための措置だ。

フォンデアライエン委員長は、EUでの接種率が10%程度にとどまるのに対し、すでに人口の3分の1以上が1回目のワクチン接種を終えた英国を念頭に、EU内で製造されたワクチンの輸出については相手国からEUへの輸出状況や接種率に応じて制限を設ける可能性を示唆。「われわれは危機の真っただ中にいる。ワクチン接種を加速しなければならない」と強調した。

同委員長はその上で、英アストラゼネカ製ワクチンの大幅な供給減を受け、EUからの域外輸出に事前承認制を導入した1月末以降、英国向けこれまでに1,000万回分を輸出したのに対し、EU側では「まだ英国からの輸出を待っている」と指摘。こうした状況が改善されない場合、ワクチン生産国への輸出はその国の「開放性に応じて調整」する必要があり、EUより接種率が高い国への輸出は「釣り合い」と考慮しなければならないと述べた。

一方、ロイター通信によると、EU当局者は21日、オランダで生産された英アストラゼネカ製ワクチンの英国向け輸出の承認を欧州委が拒否していることを明らかにした。英側はアストラゼネカの下請け会社ハリックスのライデン工場で生産されたワクチンの輸出を求めているが、EU当局者はロイターの取材に対し、同工場で生産されたワクチンはEU加盟国に供給されなければならないと述べた。

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