欧州委員会は14日、新型コロナウイルス感染拡大で大きな打撃を受けたEU経済の再生に向けた「復興基金」をめぐる資金調達の指針を発表した。起債で2026年までに最大8,000億ユーロを調達する。
EU加盟国が12月に合意し、創設が決まった復興基金は、欧州委員会が市場で調達した資金をEUの中期予算に組み込み、新型コロナによる経済の打撃が大きい国に補助金と融資の形で配分するというもの。
イタリアなど支援対象国は財政が不健全で、独自の国債発行による資金調達が難しいことから、欧州委がEUの高い信用力を生かして債券を発行する。基金は7,500億ユーロ規模。補助金が3,900億ユーロ、返済不要の融資が3,600億ユーロとなる。調達した資金は2058年まで30年間をかけて返済する
欧州委は物価の変動を考慮し、基金の規模を上回る8,000億ユーロを調達する。償還期間3~30年のEU債が中心となるが、期間1年未満の短期債、環境債も発行する。起債は入札、シンジケート方式を組み合わせて実施される。
調達額は単純計算で年平均1,500億ユーロとなるが、透明性を高めるため年間計画を毎年決定し、6カ月ごとに計画案を示す。欧州委に債券発行の権限を認める法案が加盟国から承認される見込みの今夏をめどに起債を開始する予定だ。