水・廃棄物処理大手の仏ヴェオリアは12日、仏同業スエズを買収することで基本合意したと発表した。スエズは買収を拒否していたが、価格が引き上げられたことから方針転換した。
1株当たりの買い取り価格は、当初の提案の18ユーロを上回る20.5ユーロ。スエズの価値を約130億ユーロと評価した形となる。5月14日までの正式合意を見込む。
スエズとヴェオリアは上下水道の運営や廃棄物処理などの事業を世界的に展開している。19世紀からライバル関係にある両社の統合が実現すると、売上高が約370億ユーロに上る環境サービス分野で世界有数の巨大企業が誕生する。
ヴェオリアは2020年10月、仏エネルギー大手エンジーが保有するスエズの株式29.9%を34億ユーロで取得し、筆頭株主となった。その後に買収を申し入れたが、スエズ経営陣が拒否し、1月に投資会社の仏アルディアンと米グローバル・インフラストラクチャー・パートナーズによる113億ユーロの買収案を受け入れる意向を表明したことから、2月に敵対的買収に切り替えた。
スエズが買収受け入れに転じたのは、買収額引き上げのほか、大株主のヴェオリアが今夏の株主総会でスエズ経営陣の解任を求めるとして圧力をかけていたことが大きい。
両社は同買収がEUなどの競争当局に認められない恐れがあることから、スエズの事業のうちフランスの水・廃棄物処理部門やイタリア、チェコ、インドなどで保有する資産を統合後の新会社から分離することで合意した。分離する事業の年間売上高は70億ユーロ程度に上る。